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医療費控除の対象
医療費の範囲
医療費控除は、次に掲げる医療費のうち、病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額が対象となります(所得税法第73条第2項及び所得税法施行令第297条)
- 医師又は歯科医師による診療又は治療
- 治療又は療養に必要な医薬品の購入
- 病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供
- あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術
- 保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話
- 助産師による分べんの介助
- 介護福祉士による喀痰(かくたん)吸引等又は認定特定行為業務従事者による特定行為
診療・治療・出産
健康診断・人間ドッグ
判断基準
(1)原則 ×対象外
健康診断の費用は、原則として「医師又は歯科医師による診療又は治療」に該当せず、医療費控除の対象となりません。
(2)例外 〇対象
ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合は、その後の治療の費用を合わせて「医師又は歯科医師による診療又は治療」に該当し、医療費控除の対象となります。
容姿の美化又は美容整形のための費用
判断基準
×対象外
容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、「医師又は歯科医師による診療又は治療」に該当せず、医療費控除の対象となりません。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
・ホクロの除去費用 |
予防接種
判断基準
×対象外
疾病を予防するための予防接種は、「疾病の予防又は健康増進のために供されるものの購入費用」に該当するため、医療費控除の対象となりません。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
(例外) ・B型肝炎患者と同居する親族のB型肝炎ワクチンの接種費用(※) |
(原則) ・インフルエンザの予防接種 ・外国へ渡航する際の予防接種 |
※B型肝炎は、患者の介護に当たる家族に感染する危険性が非常に高いため、その家族のB型肝炎ワクチン接種にすることは、医師によるB型肝炎の患者の治療の一環として不可欠であると考えられることから、患者と同居する者に限り医療費控除の対象となります。
(国税庁個別通達)B型肝炎ワクチン接種費用の医療費控除の取扱いについて
B型肝炎ワクチン接種費用の医療費控除
確定申告に当たっては、以下の書類を添付する必要があります。
・B型肝炎にり患しており、医師による継続的治療を要する旨の記載のある医師の診断書
・診断書に記載された患者の親族に対するB型肝炎ワクチンの接種費用に係るものであることの分かる領収書
出産・不妊治療のための費用
判断基準
妊婦健診 〇対象
妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用は、単なる健康診断ではなく、医師の診療行為の一環として行われているものであり、「医師又は歯科医師による診療又は治療」に該当し、医療費控除の対象となります。
出産費用 〇対象
出産費用は、「助産師による分べんの介助」に該当し、医療費控除の対象となります。
不妊治療 〇対象
不妊治療における治療費及び人工授精費は、「医師又は歯科医師による診療又は治療」に該当し、医療費控除の対象となります。
具体例
対象 | 対象外 |
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妊婦健診 (原則) ・妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用 |
妊婦健診 (例外) ・出産後の検診の費用のうち、健康診断の対価にすぎないもの ・妊婦に対して行う母体血を用いた出生前遺伝学的検査の費用(※1) |
不妊治療 (原則) ・医師による診療等の対価として支払われる不妊症の治療費及び人工授精の費用 |
不妊治療 (例外) ・不妊治療のサプリメント(※2) |
その他出産等の費用 ・妊娠中絶の費用のうち、母体保護法の規定に基づいて医師が行う妊娠中絶に係るもの(※3) |
その他出産等の費用 ・腹式呼吸などの指導を伴う無痛分べん講座の受講費用 |
※1 染色体の数的異常が発見されたとしても、それが治療につながらないとされています。
※2 薬事法(現薬機法)上の医薬品の製造販売業の許可を受けておらず、同法上の医薬品、特定保健用食品及び栄養機能食品には該当しない栄養補助食品として販売していた事例(平成27年11月26日東京高裁棄却)
※3 母体保護法上、特別に診療に基づくものと認められています。
歯科治療などの費用
判断基準
歯科治療 〇対象
歯科医師による診療又は治療は、病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない場合に限り「医師又は歯科医師による診療又は治療」に該当します。
美容のための歯列矯正 ×対象外
容ぼうを美化するための歯列矯正は、「医師又は歯科医師による診療又は治療」に該当しません。
具体例
対象 | 対象外 |
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高額な歯の治療 歯の治療のために一般的に使用されている材料を使用する場合であって、その材料の使用について健康保険の適用がないため治療費が高額となるとき(※) ・金やポーセレンを使用した場合の歯の治療 |
|
歯列矯正 (例外) ・発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける者の年齢や矯正の目的などからみて社会通念上歯列矯正が必要と認められる場合の費用 |
歯列矯正 (原則) ・将来の就職や結婚を考慮しての歯列矯正 |
※一般的に使用されている材料を使用することから、「病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない場合」に該当します。
マッサージ代やはり代
判断基準
以下の全てに該当する場合は、医療費控除の対象となります。
施術を行う者が、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の資格を保有している者であること
治療のために行う施術であること
施術者が免許所有者かどうかの確認ポイント(東京都ホームページ)
具体例
対象 | 対象外 |
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目的 治療のためのマッサージ代やはり代 ・椎骨調整料として支払った施術料(※) ・カイロプラクティクの治療費(※) |
目的 健康維持のためのマッサージ代やはり代 ・疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないもの |
資格 ・中国整体院(無資格者)において受けたマッサージ費用 |
※あん摩マッサージ指圧師等の資格を有する場合に限ります。
特定健康診査(メタボ健診)に基づく特定保健指導
判断基準
以下の全てに該当する場合は、医療費控除の対象となります。
特定健康診査を行った医師の指示に基づき行われる特定保健指導であること
特定保健指導が積極的支援に該当すること
その特定健康診査の結果が高血圧症、脂質異常症又は糖尿病と同等の状態であると認められる基準に該当する人の状況に応じて一般的に支出される水準の医師による診療又は治療の対価であること
特定健康診査とは、40歳から74歳までの者を対象に行うメタボリックシンドロームに着目した健康診査をいいます(いわゆるメタボ健診)。
特定健康診査の結果、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる者に対して、特定保健指導が行われます。
特定保健指導は、以下の選定方法に応じて、積極的支援又は動機付け支援が行われます。
肥満リスク | 追加リスク | 40~64歳 | 65歳~74歳 |
---|---|---|---|
腹囲 男性95cm以上 女性90cm以上 |
2個以上該当 | 積極的支援 | 動機付け支援 |
1個該当 | 動機付け支援 | 動機付け支援 | |
該当なし | 情報提供 | 情報提供 | |
BMI 25以上 |
2個以上該当 | 積極的支援 | 動機付け支援 |
1個該当 | 動機付け支援 | 動機付け支援 | |
該当なし | 情報提供 | 情報提供 |
項目 | 基準(上段と下段のいずれかに該当) | リスク該当数 | |
---|---|---|---|
血糖 | 空腹時血糖値 HbA1c |
100mg/dl以上 5.6%以上 |
0~4個 |
脂質 | 中性脂肪値 HDLコレステロール値 |
150mg/dl以上 150mg/dl未満 |
|
血圧 | 収縮期(最大)血圧 拡張期(最小)血圧 |
130mmHg以上 85mmHg以上 |
|
喫煙 | 喫煙歴あり |
具体例
対象 | 対象外 |
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上記基準を満たし、特定保健指導が医療費控除の対象となった場合における特定健康診査の自己負担額 | ・特定保健指導(積極的支援)において、スポーツジムに支払った運動施設の利用料 ・特定保健指導として受けた動機付け支援の指導料の自己負担額 |
温泉利用型健康増進施設の利用料金
判断基準
医師が治療のために患者に温泉利用型健康増進施設として厚生大臣の認定を受けた施設を利用した温泉療養を行わせた場合で、所定の書類によりその旨の証明ができるものについては、当該施設の利用料金も「医師の治療を受けるために直接必要な費用」と認められ、医療費控除の対象となります。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
・医師が治療のために患者に温泉利用型健康増進施設として厚生大臣の認定を受けた施設を利用した温泉療養を行わせた場合における当該施設の利用料金(※) |
・左記施設の宿泊費 |
※以下の書類が必要です。
・治療のために患者に認定施設を利用した温泉療養を行わせたあるいは行わせている旨の記載のある医師の証明書(温泉療養証明書)
・治療のために支払われた規程第4条各号の設備の利用及び役務の提供の対価であることを明記した認定施設の領収書
その他の治療の費用
対象となる医療費と対象とならない医療費
対象 | 対象外 |
---|---|
・レーシック ・丸山ワクチンの購入の対価(※1) ・子供の自閉症の治療費 ・介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価 ・骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金(※2) ・日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金 |
※1 薬機法上「医薬品」には該当しないものの、医師の許可がない限り購入できず、その使用も医師によって行われることから、「医師又は歯科医師による診療又は治療」に該当し、医療費控除の対象となります。
※2 医師が白血病、再生不良性貧血、先天性免疫不全症等の血液難病患者の治療上、骨髄移植推進財団へ登録しあっせんを受けることが必要と判断し、医師を通じて患者登録を行った場合に、患者が当該財団に支払った患者負担金は医療費控除の対象となります。
紹介状に係る診療情報提供料(文書料)
判断基準
〇対象
紹介状に係る診療情報提供料は、保険医療機関が、診療に基づき、別の保険医療機関での診療の必要を認めた上で、紹介先保険医療機関ごとに患者1人につき月1回に限り算定されるものであるから、医師等による診療等の対価として通常必要なものであり、その症状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額と考えられるから、医療費控除の対象となります。
医師等に対する謝礼金
判断基準
×対象外
「医師又は歯科医師による診療又は治療」に該当しないため、医療費控除の対象となりません。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
・入院中や退院の際に、担当の医師や病院のナースセンターに対して贈物をした場合における贈物の購入費用 |
医薬品の購入
以下の全てに該当する場合は医療費控除の対象となります。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づく医薬品であること
治療や療養に必要なものであること
その病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額であること
(対象とならない例)
・医薬品に該当しないもの(医薬部外品、化粧品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、その他健康食品など)
・疾病の予防又は健康増進のために供されるもの
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
(定義)
第2条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
薬機法による区分 | 医療費控除 |
---|---|
医薬品 | 〇 |
医薬部外品 | × |
化粧品 | × |
税務署の判断基準(医療費控除質疑応答)
「納税者から治療又は療養のために使用された旨の説明(病気の状況、通院等の治療の状況あるいは医師の指示の有無等)があり、医療費に該当することが確認されれば医療費控除の対象となる。」
薬局やドラッグストアなどで市販されている医薬品
判断基準
〇対象
医薬品であれば、医師の処方や指示がなくても医療費控除の対象となります。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
・かぜ薬の購入費用 |
漢方薬・ビタミン剤・サプリメント
判断基準
医薬品の目的が「治療又は診療」と「疾病の予防又は健康増進」のどちらに該当するかを判断します。パッケージに同封されている説明書が参考となります。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
・治療又は療養に必要な医薬品 | ・疾病の予防又は健康増進のために用いられる医薬品 |
・虚弱体質や肉体疲労の場合などの滋養強壮を効能効果として、疲労回復や健康維持のために用いられ、医師の処方せんがなくても薬局等で購入可能なもの |
国税不服審判所裁決(令和元年5月22日)漢方薬等の購入費用が医療費控除の対象とならないとした事例
健康食品、自然医食品等
判断基準
×対象外
医師の指示により行われる場合であっても、医薬品に該当しない場合は、医療費控除の対象となりません。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
・高血圧症のため、医師の指示により、自宅で低カロリー・低塩分の食品による食事療法を行った場合のその食品の購入費用 | |
・医師がその自然医学理論に基づく独自の治療法に不可欠な治療手段として処方した処方箋に基づき購入した自然医食品等 | |
・食事療法のため医師から推薦をうけたとするグァバ茶、クロレラ錠剤、お酢、梅エキス、ゆずエキス、乾燥ウコン、ウコン茶、鮫軟骨エキスなどの薬局等からの購入費用 |
国税不服審判所裁決(平成14年11月26日)自然医食品等の購入費が医療費控除の対象にならないとした事例
国税不服審判所裁決(平成17年3月15日)健康食品等の購入費用が医療費控除の対象とならないとした事例
通院費・入院費
通院費
判断基準
通院費は、電車賃やバス賃などのように人的役務の提供の対価として支出されるものをいいます。したがって、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金は、医療費控除の対象とはなりません。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
公共交通機関の利用 ・電車賃、バス賃 |
公共交通機関の利用 ・自家用車のガソリン代、駐車場料金、高速道路料金 |
タクシーの利用 (例外) 病状からみて、歩行困難でやむを得ないと認められる場合、電車、バス等の利用ができない場合又は急を要する場合のタクシー代(高速料金を含む。) ・突然の陣痛のため、タクシーを利用して入院した場合におけるタクシー代(※1) |
タクシーの利用 (原則) タクシー代(左記以外) ・単に医薬品を購入するために要したタクシー代 |
遠隔地との移動 (例外) ・遠隔地のA病院でなければ治療ができない難病にかかった者が、主治医の指示によりA病院で治療を受けることになった場合における自宅とA病院の間の旅費(※2) |
遠隔地との移動 (原則) ・病状からみて近隣の病院でも治療できる場合の自宅と遠隔地にある病院の間の旅費 ・実家で出産する場合における帰省の旅費 ・医師の治療を受けるための宿泊費(※3) ・子供の療養のため、医師に勧められて別荘を借りて転地療養をすることとした場合における別荘の賃借料 ・関節炎の治療のため、医師に勧められて湯治に行った場合における旅館代や旅費 ・長期入院中の者が、医師の許可を得て、年末・年始の数日間を自宅で過ごすために帰宅した場合における病院と自宅との間の往復旅費 ※医師等による診療等とは関係のない個人的な都合上必要なものにすぎない。 |
付き添い ・病状等からみて付添いが必要と認められる場合の交通費 ・子供の通院に母親が付き添う場合の母親の交通費 |
付き添い ・入院している子供の世話をするために母親が通院している場合(※4) |
※1 出産の場合の入・退院の際のタクシー代については、入院時はお産という緊急時のため、退院時は生まれたばかりの子を抱えているため、いずれも電車やバスなどの交通機関の利用は困難との考えにより医療費控除の対象となります。
※2 遠隔地のA大学病院でなければ治療ができないという相当の理由がある場合に限られます。
※3 地元の病院で治療できないといわれた難病にかかり、主治医に指示されて遠隔地の病院で治療を受けることになったが、病院の都合でホテルに一泊することになった事例。
※4 その日は患者が通院しているわけではないため。
入院費
判断基準
医師等の診療等を受けるため直接必要な費用として通常支払われたものかどうかによって判定します。単なる生活費又は生活用品の購入費用は医療費控除の対象となりません。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
食事代 (原則) ・病院に支払う入院患者の食事代 |
食事代 (例外) ・病室に出前をとったり外食をした場合の食事代 ・おやつ代など病院から給付される食事以外の食事の費用 |
・入院中をする際に病院に支払うシーツや枕カバーのクリーニング代 | 生活費 ・入院時の新聞購読料、牛乳代金及びテレビ賃借料 ・入院をする際に必要な寝具や洗面具などの身の回り品の購入費用 ・入院する際に購入した衣料品の購入費用 ・入院中に病室で使用するため、病院から借りたテレビや冷蔵庫の賃借料及びこれらに係る電気の使用料 ・糖尿病用の献立書の購入費用、入院中の者の弁当代、家事雑貨品の購入費用 ・入院中をする際に支払う患者自身のパジャマ等のクリーニング代 |
差額ベッド料 (例外) ・自己の都合によらずにその個室を使用するなどの場合に支払う差額ベッド料 |
差額ベッド料 (原則) ・自己の都合によりその個室を使用するなどの場合に支払う差額ベッド料 |
療養上の世話の対価
保健師、看護師又は准看護師の資格を有する者以外に依頼する場合は、原則として家政婦等人的役務の提供を業とする者に限られます。
親族に対して支払う謝礼は、医療費控除の対象とはなりません。
具体例
対象 | 対象外 |
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家政婦等 家政婦に病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価 ・家政婦の付添人の食事代(※1) ・入院患者の付添人を紹介してもらった対価として家政婦紹介所に支払う紹介手数料 |
・出産後における子供の世話や家事を家政婦依頼した場合の対価 |
親族 親族への付添料 ・親族が付き添う場合における親族の食事代 |
|
在宅療養 在宅療養の場合に、家政婦に依頼して療養上の世話を受けるために支出した費用 |
|
その他 ・介護労働安定センターのケア・ワーカー福祉共済制度掛金 |
※1 付添いの対価の一部として支払われるものに限られます。
※2 更正労相省が各市区町村に対して、ホームヘルパー(家庭奉仕員)を派遣する市町村等の在宅介護サービスの供給主体等が、患者名、傷病名、介護内容、介護費用等を記載した証明書の交付を要請しています。
医療用器具・補助器具
医療用器具等の購入、賃借又は使用のための費用
判断基準
通常必要となるもので、治療の対価に該当する場合は、医療費控除の対象となります。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
眼鏡等 (例外) ・弱視、斜視、白内障、緑内障、難治性疾患(調節異常、不等像性眼精疲労、変性近視、網膜色素変性症、視神経炎、網脈絡膜炎、角膜炎、角膜外傷、虹彩炎)の患者が視機能回復のために購入した眼鏡の購入費用 ・視機能が未発達の子供の治療を行っている医師が、当該子供の視力の発育を促すために眼鏡の使用を指示した場合において、当該指示に基づいて購入する眼鏡(弱視用眼鏡)の購入費用 ・オルソケラトロジーによる近視治療に係る費用(リテーナーレンズの購入費用を含む。) ※角膜を矯正して視力を回復させる治療の対価 |
眼鏡等 (原則) ・近視等の眼の屈折異常を矯正するために眼鏡及びコンタクトレンズを購入した場合のその費用、眼の屈折検査、眼鏡及びコンタクトレンズの処方の費用 ※視力を回復させる治療の対価に該当しない |
寝たきり ・病気で寝たきりの者のおむつ代 ※傷病によりおおむね6か月以上にわたり寝たきりであり、医師の治療を受けている者のおむつ代として、医師が「おむつ使用証明書」を発行した場合に限る。 |
寝たきり ・病気で寝たきりの者のマットレス |
糖尿病 ・糖尿病のため通院中の患者が医師の指示によりインシュリンを注射するための注射器の購入費用 |
糖尿病 ・糖尿病の運動療法のための運動用具としてガスコンロの購入及び取付費用並びに糖尿病の薬が引き起こす便秘症状解消のためのトイレの改築費用として自宅の改築材料の購入費用及び施工費用 |
その他 ・入院に際し、病院から氷枕や氷のうを持参するように指示があったためにこれらを購入した費用 ・治療の必要上その医師の指示に基づいて酸素吸入器を使用するための電気代 ・心臓病の患者が医師の指示・処方に基づき使用する自動対外式除細動器(AED)の購入費用又は賃借料 |
その他 ・ぜんそくの患者が、医師に勧められて空気清浄機を自宅に取り付けた場合の購入費用 ・アトピー性皮膚炎に効果があると勧められた防ダニ寝具の購入費用 ・アトピー性皮膚炎治療のため医師の指示に基づき購入した温泉水 |
自己の日常最低限の用をたすために供される義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯等の購入のための費用
判断基準
義手、義足、松葉づえ、補聴器、車いす等の購入のための費用が医療費控除の対象となるのは、医師の診療等を受けるために直接必要な場合に限られます。
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
・医師による診療や治療などのために直接必要な補聴器の購入のための費用(※1) | ・老齢の難聴のために購入した補聴器の費用 |
・要介護認定を受けている者が居宅サービスを利用するための車いすの購入費用(※2) |
※1 補聴器適合に関する診療情報提供書において、購入する補聴器が医師等による診療や治療を受けるために直接必要である旨が記載(証明)されている場合に限ります。
※2 居宅サービスは医師の診療等を受けるために直接必要な場合に該当しません。
介護保険等制度で提供された施設・居宅サービス
介護老人保健施設の施設サービス費に係る自己負担額
判断基準
介護老人保健施設とは、要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、次のサービスを行うことを目的とする施設として、都道府県知事の許可を受けたものをいいます。
(1)看護
(2)医学的管理の下における介護
(3)機能訓練その他必要な医療
(4)日常生活上の世話
※要介護者は、病状が安定期にあり、上記(1)~(3)のサービスを受ける必要があると主治医が認めたものに限ります。
医療費控除は、施設サービスの対価のうち、療養上の世話等に相当する部分の金額(介護費、食費、居住費に係る自己負担額として支払った額の2分の1に相当する金額)が対象となります。
施設サービスの費用の2分の1相当額とされる理由
施設サービスの費用は、個々の入所者ごとに実際のサービス提供の状況に応じて金額が算定されるものではありません。このため、施設サービスの費用のうち医療費控除の対象となる金額については、療養上の世話などの提供の状況に応じ平均的な療養上の世話に相当する部分の金額として、厚生労働省の通知等において、介護費、食費、居住費に係る自己負担額として支払った額の2分の1に相当する金額とされています。
個別通達「介護保険制度下での指定介護老人福祉施設の施設サービスの対価に係る医療費控除の取扱いについて」
申告に当たっては、指定介護老人福祉施設利用料等領収証の「うち医療費控除の対象となる金額」を転記します。
訪問介護の居宅サービス費用に係る自己負担額
判断基準
「居宅サービス計画」に基づいて、医療系サービスと併せて利用した場合は、医療費控除の対象となります。
※介護保険給付の対象となるものに係る自己負担額に限ります。
※訪問介護(ホームヘルプサービス)とは、居宅要介護者に対し、その者の居宅において、介護福祉士等により行われる次のサービスをいいます。
・入浴、排せつ、食事等の介護
・調理、洗濯、掃除等の家事
・生活等に関する相談及び助言その他の居宅要介護者に必要な日常生活上の世話
具体例
対象 | 対象外 |
---|---|
・訪問介護について医療系サービスと併せて利用していない場合において、居宅サービス費用に係る自己負担額のうち、介護福祉士等による喀痰吸引等の対価の部分 |
根拠法令
判断基準
医療費控除に該当するかどうかは、以下を参照します。
項目 | 内容 |
---|---|
所得税法第73条第2項 | 法律 |
所得税法施行令第297条 | 政令 |
所得税法施行規則第40条の3 | 省令 |
所得税法基本通達 | 法令解釈通達 |
所得税法個別通達 | 法令解釈通達 |
文書回答事例 | 事前照会に対する文書回答手続に基づき国税庁や国税局が回答したもの |
質疑応答事例 | 納税者からよくある質疑応答をまとめたもの |
国税不服審判所裁決事例 | |
裁判例 |
所得税法第73条第2項
医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして所得税法施行令で定めるものをいう。
所得税法施行令第207条
所得税法第73条第2項に規定する所得税法施行令で定める対価は、次に掲げるものの対価のうち、その病状その他所得税法施行規則で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする。
一 医師又は歯科医師による診療又は治療
二 治療又は療養に必要な医薬品の購入
三 病院、診療所(これに準ずるものとして所得税法施行規則で定めるものを含む。)又は助産所へ収容されるための人的役務の提供
四 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第3条の2に規定する施術者又は柔道整復師法第2条第1項に規定する柔道整復師による施術
五 保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話
六 助産師による分べんの介助
七 介護福祉士による社会福祉士及び介護福祉士法第2条第2項に規定する喀痰(かくたん)吸引等又は同法附則第3条第1項に規定する認定特定行為業務従事者による同項に規定する特定行為
所得税法施行規則第40条の3
所得税法施行令第207条に規定する所得税法施行規則で定める状況は、次に掲げる状況とする。
一 指定介護老人福祉施設(介護保険法第48条第1項第1号に規定する指定介護老人福祉施設をいう。次項において同じ。)及び指定地域密着型介護老人福祉施設(同法第42条の2第1項に規定する指定地域密着型サービスに該当する同法第8条第22項に規定する地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の事業を行う同項に規定する地域密着型介護老人福祉施設をいう。次項において同じ。)における所得税法施行令第207条各号に掲げるものの提供の状況
二 高齢者の医療の確保に関する法律第18条第1項に規定する特定健康診査の結果に基づき同項に規定する特定保健指導(当該特定健康診査を行った医師の指示に基づき積極的支援(特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(以下この号において「実施基準」という。)第8第1項に規定する積極的支援をいう。)により行われるものに限る。)を受ける者のうちその結果が次のいずれかの基準に該当する者のその状態
イ 実施基準第1条第1項第5号に掲げる血圧の測定の結果が高血圧症と同等の状態であると認められる基準
ロ 実施基準第1条第1項第7号に規定する血中脂質検査の結果が脂質異常症と同等の状態であると認められる基準
ハ 実施基準第1条第1項第8号に掲げる血糖検査の結果が糖尿病と同等の状態であると認められる基準
2 所得税法施行令第207条第3号に規定する所得税法施行規則で定めるものは、指定介護老人福祉施設及び指定地域密着型介護老人福祉施設とする。