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均等割と所得割
住民税(都道府県民税・市区町村民税)は、主に均等割と所得割があります。
均等割と所得割は、それぞれ下表の都道府県・市区町村に納めます。
均等割 | 所得割 | |
---|---|---|
1月1日時点で住所を有する市区町村 | 〇 | 〇 |
1月1日時点で住所を有しないが、事務所、事業所または家屋敷のある市区町村 | 〇 | - |
住民税は均等割と所得割のほか、以下のようなものがあります。
区分 | 対象 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|---|
均等割 | 住所・事務所・事業所・家屋敷のある人 | 1,500円 | 3,500円 |
所得割 | 所得 | 4% | 6% |
利子割 | 預貯金や債券の利子 | 5% | - |
配当割 | 上場株式の配当や投資信託の分配金 | 5% | - |
上場株式等譲渡所得割 | 上場株式や投資信託の譲渡益 | 5% | - |
均等割と所得割は標準税率で、都道府県・市区町村により異なる場合があります。
家屋敷課税とは
1月1日時点で住所を有しないが、事務所、事業所または家屋敷のある市区町村に納める均等割を「家屋敷課税」といいます。
住んでいなくても、個人の事務所、事業所、家屋敷(別宅)がある場合は、その市区町村の行政サービス(保健、防災、清掃、道路、公園の整備など)を受けていることから、均等割だけ負担するというものです。
家屋敷とは具体的に何を指すのか
家屋敷とは、自己または家族居住の目的で、住所地以外の場所に設けられた住宅のことをいいます。具体的には、家族が住んでいる単身赴任元の家や別荘が該当します。
電気・水道・ガス等のライフラインが現在開通していなかったり、実際に住んでいなかったとしても、いつでも住むことができる状態であれば「家屋敷」に該当します。
したがって、家族を置いて横浜市から大阪市に単身赴任した場合は、下表のとおりになります。
横浜市 | 大阪市 | |
---|---|---|
均等割 | 〇 | 〇 |
所得割 | - | 〇 |
別荘地と家屋敷
家屋敷は別荘も含まれます。
家屋敷の納税義務者数の多い上位5市町村を見ると、大阪市を除き、日本有数の別荘地が並びます。
大阪府大阪市 12,790人
山梨県北杜市 11,192人
長野県軽井沢町 10,953人
静岡県伊東市 9,632人
栃木県那須町 9,553人
(出典)市町村税課税状況等の調(総務省、2019年)
市区町村はどのようにして家屋敷を把握するのか
家屋敷課税の対象となる者は、その市区町村に都道府県民税・市区町村民税申告書(住民税申告書)を提出する義務があります。そのため、家屋敷があることをその市区町村に申告しないことは、申告義務違反となります。
ただ、この制度を知らずに申告しない場合もあります。申告がない場合で、市区町村による調査によって家屋敷があることが判明した場合は、市区町村から家屋敷課税の通知が届く場合があります。いきなり納税の通知が届く場合と、いったん申告書が届き、申告すると納税の通知が届く場合があります。
では、市区町村はどのように家屋敷を調査しているのでしょう。
家屋敷の把握の方法は市町村によってさまざまです。
代表的な方法を単身赴任と別荘に分けて説明します。
単身赴任
別居の配偶者控除
他市に居住する配偶者が配偶者控除を申告した場合、単身赴任であることが考えられます。
例えば、横浜市に妻を置き、大阪市に単身赴任した場合で、夫が配偶者控除を申告した場合、大阪市は、配偶者控除を適用できるか横浜市に対して妻の所得を照会します。これにより横浜市は夫が大阪市に居住していることが判明しますので、夫の単身赴任を疑うことになります。
単身赴任元の家族の申告
単身赴任元の家族が所得の申告をしない場合、その家族に住民税申告書を送付することがあります。所得がない場合、誰に扶養されているかどうか記入する欄があります。別居の場合は住所を記入しますので、単身赴任が判明します。
例えば、横浜市に妻を置き、大阪市に単身赴任した場合で、妻が所得の申告をしなかったとき、横浜市は妻に住民税申告書を送付します。ここで夫に扶養されている旨を記入しますので、単身赴任が判明します。
世帯主の転出
世帯主が転出した場合で、残された家族の所得が少ない場合は、世帯主が単身赴任である可能性が考えられます。
別荘
別荘を自己所有する場合、家屋に対して固定資産税が課税されます。そのため、別荘地の住所に家屋を有し、かつ住民票がその市町村にない場合は、家屋敷課税の対象者である可能性が高くなります。ただし、別荘を他人に貸していた場合は、「いつでも住む状態」にはありませんので、家屋敷課税の対象にはなりません。
実務的には、固定資産税の納税通知書の送付先に家屋敷課税の申告書を送付し、自身の別荘であることを確認してから課税するのが一般的でしょう。
また、別荘地であれば、別荘管理組合に管理費を支払う場合があります。市町村と別荘管理組合との間に協力体制があれば、法令の範囲内において、所有者についての情報を共有することも考えられます。