令和6年度(春期)問1の分析|情報処理安全確保支援士
riss
未経験の文系で情報処理安全確保支援士に受かる
問題・解答は情報処理推進機構(IPA)のページからダウンロードできます。
問題文 |
P14表1 利用者は、口座番号及びキャッシュカードの数字4桁の暗証番号を入力する。 |
脆弱性 |
漏えいしている口座番号と暗証番号を悪用する方法や、口座番号と暗証番号をだまして聞き出し、悪用する方法により、攻撃者が他人の氏名でアカウント作成を行い、他人の銀行口座とのひも付けが行われるリスクがある(設問2(1))。 |
対策 |
アカウント作成時に身元確認を実施する。具体的には、本人確認書類を用いた方法と電子証明書を用いた方法がある。 |
問題文 |
P14表1 利用者IDとパスワードでQサービスにログインする。 |
脆弱性 |
漏えいした利用者IDとパスワードにより攻撃者がログインする可能性がある。 |
対策 |
利用者IDとパスワードによる認証後にSMSで認証コードを利用者に送り、入力させる方法を実装する。(P17) |
問題文 |
P16 写真付き本人確認書類の画像と容貌の画像により本人確認する。 |
脆弱性 |
事前に準備した他人の画像が用いられる可能性がある。 |
対策 |
Qアプリが毎回ランダムな数字を表示し、利用者がそのランダムな数字を紙に書き、その紙と一緒に容貌や本人確認書類を撮影する。(設問2(5)) |
問題文 |
利便性を向上させるために、ログインが成功した場合は、1か月間、ログイン状態を保持することを考えた。 |
脆弱性 |
Qサービスにログインした状態で、スマートフォンの画面ロックを設定していないと、スマートフォンを盗まれた場合、Qサービスが不正利用される可能性がある。(設問3(1))。 |
対策 |
Qアプリの起動時に、PINコードで利用者を認証する機能を実装する。(設問3(2)) |
近年、スマートフォンを用いた決済において不正利用事件が多発している。IPAが公表してる”情報セキュリティ10大脅威”の個人部門では”スマホ決済の不正利用”が2020年度、2021年度で1位となっており、サービス提供者による対策が望まれている。
本問では、スマートフォン向けのQRコード決済サービス用プログラムの開発を題材として、不正利用が発生するリスクとサービス提供者での対策について、セキュリティの観点での対応力を問う。
問3では、スマートフォン向けQRコード決済サービスを題材に、決済サービスで不正利用が発生するリスクとその対策について出題した。全体として正答率は平均的であった。
設問2(4)は、正答率が低かった。公開鍵暗号の仕組みについて、電子証明書の有効性を確認する方法が必要となるが、このことを理解していないと思われる解答が多かった。公的個人認証サービスでは、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)がOCSPによる方法とCRLによる方法を提供している。これらの方法について知っておいてほしい。
設問2(5)は、正答率がやや低かった。Qアプリが表示するランダムな数字について、”当該数字を撮影する”という解答が多かった。そういった方法では、撮影したのが本人なのか確認できない。オンラインにおける本人確認手法は、今後も様々な手法が提案させると思われるが、現在使われている最新の手法を理解しておいてほしい。
設問3(1)は、正答率が平均的であった。オンラインサービスの設計では、どのような不正が発生するのかを洗い出して、対策を検討することを心掛けてほしい。